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[[QCD Matter Open Forum (QCDMOF)]]

* インフォーマル会議@日本物理学会 [#a237808d]
2010年9月の物理学会から、年2回の物理学会時には「高温・高密度QCDの物理」に関するインフォーマル会議を開催しています。

* 開催動機・趣旨 [#c040d75d]
「高温・高密度QCDの物理」を牽引してきた原動力の一つは、高エネルギー原子
核衝突実験研究ですが、RHICでの研究を始めて、早いもので10年が経ちました。
幸い、粘性の小さいクォーク・グルーオン流体の発見を始め、数多くの研究成果
を得ることが出来ました。実り多い10年間でしたが、これまでの成果を元に、
今後10年間の計を立てることが求められています。
LHCにおいては、昨年の11月に待望久しかったp+p衝突実験がようやく開始され、
今年の11月にはいよいよ鉛+鉛衝突が実現しようとしています。LHCにおける実
験研究は、RHICにおける成果をベースに、より高温領域におけるQGPの性質の包
括的な理解が主たる課題となりますが、RHICでの研究との密なる連携が必要とさ
れます。また、small-x領域におけるグルーオン分布関数の非線型的な振る舞い
といったLHCに相応しい魅力的な研究テーマもあります。

「高温・高密度QCDの物理」の発展のもう一つの輪が理論であることは言うまで
もありません。理論における進展も目覚ましく、格子QCDは大きな予言力を獲得
しつつあり、時空発展のフレームワークである流体模型の成功は衝突過程の定量
的な記述を可能としました。また、AdS/CFT対応による超弦理論を用いた強結合
(非摂動論的)極限における物理量予言は大きな注目を集めています。
実験的には今のところアクセスの難しい、高バリオン密度領域におけるQCD物質
の面白い構造の理解についても大きな進展が見られます。

今後の研究の大きな進展の為には、理論・実験の更に密なる連携が必要とされま
す。意見交換、情報交換の場形成を目指す第一歩として、このインフォーマル
ミーティングを提案いたします。 by 浜垣 秀樹(東大CNS) (2010年9月)