QCD Matter Open Forum (QCDMOF)

インフォーマル会議@日本物理学会

2010年9月の物理学会から、年2回の物理学会時には「高温・高密度QCDの物理」に関するインフォーマル会議を開催しています。

開催動機・趣旨

「高温・高密度QCDの物理」を牽引してきた原動力の一つは、高エネルギー原子 核衝突実験研究ですが、RHICでの研究を始めて、早いもので10年が経ちました。 幸い、粘性の小さいクォーク・グルーオン流体の発見を始め、数多くの研究成果 を得ることが出来ました。実り多い10年間でしたが、これまでの成果を元に、 今後10年間の計を立てることが求められています。 LHCにおいては、昨年の11月に待望久しかったp+p衝突実験がようやく開始され、 今年の11月にはいよいよ鉛+鉛衝突が実現しようとしています。LHCにおける実 験研究は、RHICにおける成果をベースに、より高温領域におけるQGPの性質の包 括的な理解が主たる課題となりますが、RHICでの研究との密なる連携が必要とさ れます。また、small-x領域におけるグルーオン分布関数の非線型的な振る舞い といったLHCに相応しい魅力的な研究テーマもあります。

「高温・高密度QCDの物理」の発展のもう一つの輪が理論であることは言うまで もありません。理論における進展も目覚ましく、格子QCDは大きな予言力を獲得 しつつあり、時空発展のフレームワークである流体模型の成功は衝突過程の定量 的な記述を可能としました。また、AdS/CFT対応による超弦理論を用いた強結合 (非摂動論的)極限における物理量予言は大きな注目を集めています。 実験的には今のところアクセスの難しい、高バリオン密度領域におけるQCD物質 の面白い構造の理解についても大きな進展が見られます。

今後の研究の大きな進展の為には、理論・実験の更に密なる連携が必要とされま す。意見交換、情報交換の場形成を目指す第一歩として、このインフォーマル ミーティングを提案いたします。

by 浜垣 秀樹(東大CNS) (2010年9月)

これまでのインフォーマル会議

  • 第一回インフォーマル会議(2010年9月)@九州工業大学 戸畑キャンパス
    • 議事録
    • 会合の目的、方向性の確認
    • 名称
    • 各研究分野からの報告
      • RHIC-PHENIX, 日米協力事業
      • LHC-ALICE
      • 国内実験施設(J-PARCなど)
      • lattice
      • 現象論
      • 高エネルギーQCD
    • 会合開催頻度、情報交換手段、運営方法
  • 第二回インフォーマル会議(2011年9月)@弘前大学
    • 議事録
    • QCDMOFの現在までの経緯と現状報告(志垣)
    • 日本の核物理の将来:高エネルギー重イオンWGとの連携(郡司)
    • QM招致の現状と今後(浜垣)
    • HICの運営体制(藤井)
    • 新領域応募に向けた取り組み報告(志垣)
    • 国際会議、研究会の案内